「グランパスSTADIUM!」コメンテーターの
牧弘和がグランパスの試合を鋭く斬ります。

【天皇杯4回戦 vs 柏レイソル】 瑞穂陸上競技場


昨年のリーグチャンピオンの名古屋と、今シーズンのリーグチャンピオンの柏が激突し、王者のプライドをかけた一戦となった天皇杯4回戦。名古屋は12月3日のリーグ最終戦を最後に実戦から遠ざかっており、試合感の低下が心配されます。一方の柏は12月に入り早くも6試合目。実戦感覚は十分なものの、連戦による疲労がどこまで回復しているかがポイントになっています。試合の前半を名古屋がうまく乗り切れるかが、準々決勝進出への鍵になってくると思います。

・完全柏ペースの前半
闘莉王選手、ケネディ選手、そして阿部選手を欠く名古屋。試合感の鈍りも加わり前半は全く良いところが見せられません。ボールへの反応が悪く、寄せが甘くなる中、酒井選手と、レアンドロ・ドミンゲス選手に右サイドを制圧され、次々と危ない場面を迎えてしまいます。最後の場面でなんとか持ちこたえていたものの、42分に酒井選手に右サイドを突破されると、増川選手に当たったこぼれ球を、レアンドロ・ドミンゲス選手に押し込まれて、痛い先制点を許してしまいます。結局前半は柏のシュート10本に対して、名古屋は0本。数字から見ても分かるように、柏の一方的な展開のまま45分が過ぎてしまいました。

・永井投入で攻撃陣が活性化
1回勝負のトーナメントのため、勝つしかない状況の名古屋は、後半開始とともに永井選手をピッチに送り込みます。ここでシステムを金崎選手の1トップから玉田選手と永井選手の2トップに変更して、逆転を目指しました。4分には永井選手が右サイドでボールを奪い、センタリングを上げ、決定的な場面を迎えます。このあとも、永井選手が快速を飛ばして柏ゴールへと迫りますが、次の得点も柏でした。再び酒井選手がレアンドロ・ドミンゲス選手とのワンツーからゴールライン際まで攻め込むと、最後は走りこんだ工藤選手が落ち着いてシュートを決めました。名古屋は苦しい追加点を与えてしまいましたが、ここから昨年度リーグチャンピオンの意地を見せてくれました。32分には永井選手がペナルティエリアの外から思い切りの良いシュートを決めて1点を返すと、終了間際の43分には、コーナーキックのこぼれ球を増川選手が押し込んでついに試合を振り出しに戻しました。主力3人を欠く中、強いメンタルを見せてくれました。

・白熱のPKで決着
2-2となり迎えた延長、先手を取ったのは名古屋でした。永井選手がカウンターから柏ゴールにドリブルで持ち上がると、GKの菅野選手の動きを冷静に判断して技ありのループシュートを決めてくれました。この試合で初めて名古屋がリードを奪い、勝利が近づいたように思いましたが、延長後半に田中隼磨選手がペナルティエリア内で工藤選手を倒してしまい、PKを献上してしまいます。これを難なく決められて再び同点。試合はついにPK戦へと突入しましたが、最後は10人目のキッカーのダニルソン選手が落ち着いて蹴りこんでついに名古屋が勝利を手にしました。

この試合を振り返ると、前半は完全な柏ペース。そして後半は名古屋が主導権を握る展開となりました。延長に入ってからはまさに意地と意地とのぶつかり合いの様相となり、とても白熱した試合を見せてくれました。この試合は名古屋が勝利したものの、やはりリーグ王者の柏の強さにも感心しました。リーグ戦、そしてクラブワールドカップと見事に自分たちの戦いを披露し続けた柏は、ネルシーニョ監督と選手との一体感、そして若い選手たちが試合を重ねるごとに成長することで本当に素晴らしいチームになりました。準々決勝には名古屋が進むこととなりましたが、柏の分まで名古屋には頑張ってもらいたいと思います。